≪糸谷流右玉≫
A図
力戦派の雄、糸谷哲郎八段が奨励会時代に得意としていた戦法が対振り飛車の右玉である。
糸谷流右玉、または対振り右玉と呼ばれる力強い戦法だ。
相手の飛車の位置はどの筋でも使うことができる。
A図がその駒組みの一例である。
3八金と上がって4八玉と上がるのが大切だ。
場合によっては2七金から攻めに使ったり、6六步~6七銀~7七桂~9七角から8筋の步を伸ばしていくことも考えられる。
基本的には定跡化されておらず、力戦の戦いになる。
場合によっては上部を開拓して、入玉を狙うこともできるのが対振り右玉の魅力だ。
B図
糸谷八段が四段当時に中原誠永世十段(当時)と対局した一局がある。
B図がその中盤で、中原永世十段が飛車を一路引いた所(悪手)だが、ここから9七角(機敏)、6三銀上、2九飛、5二金左、8六步、4一飛、8五步と進んで先手十分となった。